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KONICA EE-MATIC New Deluxe

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Photos: KONICA EE-MATIC New Deluxe

Photos: KONICA S2 Photos: MINOLTA AL

実は本機は、2個1で整備したものである。元々、1997年に、旅先で知り合った長崎県の方からいただいたもので、ASA感度目盛りが脱落して無くなっていたので、東銀座の老舗中古カメラ屋でトップカバーが変形した同機種のジャンクを入手し、感度目盛りを移植し、一度現役復帰させた。しかし、コニリールシステムが不調で、フィルム給装トラブルが多発し、修理できなかったことからフィルム2〜3本撮ったところで放置していた。

あるとき、ASA感度目盛りを譲って完全な部品取りになっていたボディを、勉強用に分解してみたところ、まるで「助けて!」と叫んでいるかのように、露出計の針が動いたのだ。そこで、部品取り用のジャンクのボディを活かすことにし、トップカバーを外し、前述の、頂いたボディのトップカバーを移植することで、2コイチボディが完成した。ただ、露出計の値がどうもオーバーに振れるため、調整方法を模索したが、わからず、これまたしばらく放置していた。そして、思い立って2021年暮れ、トップカバーを外してメーターを観察したところ、針の調整用ねじを発見、調整を試みたものの、限度があり、最終的にはASA感度目盛りのセット位置をずらすことで適正露出が得られるようにして、なんとか現役復帰させることができた。

KONIC EE-MATICシリーズは、絞りとシャッター速度はカメラが自動調節するプログラムAE機で、ピント合わせは二重像合致式連動距離計を装備している。写真のKONICA EE-MATIC New Deluxeは、コニカが昭和40年に発売したKONICA EE-MATIC Deluxの改良型で、フィルム巻上げ機構を、「コニリールシステム」と呼ばれるフィルム装填を容易にする巻き取りスプールを装備している。

基本、押すだけで写るカメラであり、カメラにあまり詳しくないアマチュア向けの大衆機であるが、ボディのメッキには高級感があり、内部のつくりも良い。ファインダーは明るく見やすいうえに、ファインダー内にシャッター速度を表示する指針が表示される。また、トップカバー上部にASA感度目盛りがあることから、ちょっとした露出補正もしやすい。このほか、絞り開放限定だがバルブと、フラッシュ撮影用に、/30単速での絞り2.8-22でのマニュアル撮影が可能。ただ、EE連動範囲は絞りが2.8-22、シャッター速度が1/30-1/250と狭いため、基本的には、家族の記念写真を撮るような用途のためのカメラである。スペック的には、後のヒット作、コニカC35の前身のような感じのカメラである。

試写した限りでは、画面中心部はそれなりに鮮鋭だが、画面周辺に非点収差によると思われる画質低下が見られることから、メーカー公表の3郡4枚ではなく、トリプレット(3郡3枚)なのではないかと疑っている。お世辞にもよいレンズとは言いがたいものがある。レンズに手を抜いてでも、F2.8というスペックを外せなかった、当時の大衆機の競争の激しさを物語るようなカメラである。

(作例はこちら)
http://photozou.jp/photo/list/3096382/9498066

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