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「クリトリック・リスくりすますワンマン」at 十三FANDANGO Dec.25.20161

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Photos: 「クリトリック・リスくりすますワンマン」at  十三FANDANGO Dec.25.20161

Photos: 「クリトリック・リスくりすますワンマン」at  十三FANDANGO Dec.25.20162 Photos: 「クリトリック・リス くりすますワンマン」at 十三FANDANGO Dec.25.20162

「クリトリック・リス くりすますワンマン」at 十三FANDANGO Dec.25.2016

2016年12月21日、アトホールでのAcid Mothers Templeのライブ。このライブを観ていなければ、4後の25日に、俺が大阪は十三の名物ライブハウスの扉を叩くことはなかったと思う。
AMTの、融け合うようでいて決して混じり合わない不思議な轟音の混沌。超然と音の中に佇む東さんや、神々しいカッコよさだった河端さんは勿論だけど、中でも一番背中を押し(てくれ)たのは田畑さんだ。ここ最近、何やら女装した怪しげな田畑さんの画像がチラホラ視界に入ってはいた。てっきり内輪だけのネタだと思っていたのだが、まさかそのまんまホントにステージに立っているとは思わなんだ。いや、最初はよく分からなかった。AMTの無頼な楽曲のイメージとミツコ☆タバタ嬢という毒々しいキャラクターの同居に狼狽した。しかし、実際に生であの音の洪水の中、齢50を過ぎた田畑さんがピンクのワンピース姿で暴れるのを目の当たりにすると、ちょっとグッときた。
「オマエラ、ライブなんかそんなにクソ真面目面して観るもんじゃないんだぜ」。
田畑さん自身は無粋なことは一言も言わないが、そう言われた気がしたのだ。
ま、つまり、ミツコ☆タバタさんと一緒に写真撮れてネジが外れちゃったわけですな。

そんなこんなで(?)新大阪まで約4時間弱。新幹線の中で眠れれば良かったのだけど、前日の14時から起きっぱなしで交感神経がおかしくなってるのか、疲れているのに眠れない。心臓がバクバク言ってるのが分かる。おまけにここんとこ調子の良かった足の筋膜炎がよりによってこんな日にぶり返してる。参った。ちと後悔した。
京都線快速で大阪まで行って、阪急本線で十三へ。十三へ来たのは人生で初めてだけど、元々が西日本の人間なせいか、全く他所へ来たような違和感はない。むしろ親戚の家にでも遊びに来た感じに似てる(実際親類がいたりするんだけど)。

開場したファンダンゴに入店すると、名物店長の加藤さんが直々に受付。ちょっと話してみたかったが、後ろがつかえていたので諦める。なんでこの感じのいい人がいつもチンコ出すハメになるんだろう。。。ナゾだ。
そんなことをつらつら考えながら後方の壁にもたれる。店内には入口の側にデカい柱があり、どこか渋谷のクワトロを思わせる。ステージ後方には本格的なバーまであって、チケットのモギリからビールの販売までほぼ独りで回してるアトホールとは段違いだ。採算はどうなんだろうか。
開場しだちはまだそれほどでもなかったけれど、さすがスギムさんの地元だけあって開演直前にはほぼ満員に。
まずダースベイダーのテーマにのって、この日のために金総書記と同じ髪型にしたというマネージャー氏がご挨拶。デカい。
続いて、スギムさんの御用達(?)の食笑のマスターがカラオケでご自慢の喉を披露。MCのようにコテコテのオチを期待したが普通に上手い。マスターは宇崎竜童と欧陽菲菲を朗々と歌い上げ、上機嫌でスギムさんへと繋ぐ。
さほど間を置かず、スギムさんも黒のフードを被って颯爽と登場。あれ?予約メールの時に今夜22時くらいまでやるって言ってたけど、こんなに早く出て来て大丈夫なの?と思うくらい早い出演だ。
いきなり酒相撲のテーマで場内大合唱。さすがホームタウンとあってお客さんの熱量がハンパない。「これから1時間半?くらい苦痛味合わせたるから!」のMCに続いての1曲目はクリトリック・リス流丸出だめ夫失恋ソング「Rain」。もうサビの部分の「レイーーン!」がほとんど怒声になってる(笑)。「秘密のパスワード」、「ハゲハゲしく」、「ぶっちゃけ顔が好き」と冒頭から猛烈にスッ飛ばしていく。そうこうする内に早くも本日のハイライトがやってきた。
前にも一度どこかで聴いたことがあるし(wwwのワンマンの時か?)、歌われている子のことは、やはりどこかでちょっとだけ目にした気もする。一年に一度、必ず演るようにしているという、クリトリック・リスらしからぬピアノのシークエンスフレーズが印象的な「あの子の唄」。
初期のクリトリック・リスのライブに通い続け、打ち上げなんかにも参加していた女の子(?)に捧げられた唄。「友達から聞きました。あの子が死にました」。冒頭の歌い出しから、だいたいその後の予測がつく。正にその通りの歌だ。
最初はそういう設定の歌かと思っていたが、どうやらそうじゃなく、実在の人物を扱った唄らしい。「死にたい。死にたい」と言っていた彼女を、当時のスギムさんは少し鬱陶しく感じていたらしく、距離を置いていたようだ。何を言っても今となっては後の祭り、みたいなそんな歌。

死ぬ前のmixiの日記見たら習字習っとった
通りで字上手いわけや ショック~
食べ過ぎて太ってもうたって
どうせ死ぬんやったら
好きなだけ食べればよかったやん?

「あの子の唄」

前にメールで「ハンバートハンバートのどこらへんが好きなんですか?」と訊いたら、スギムさんは「気持ちの良いままライブを終わらせないとこ。どこかに必ず毒を盛ってる」みたいなことを書いていた。ともすれば、言い方が妥当じゃないかも知れないが、この夜の「あの子の唄」は、「聖夜にセックスしまくってる世間のリア充ども氏ね!」で盛り上がっている今宵のクリトリック・リスのワンマンにおける、まさにその毒だったと言えなくはない。
「今日もmixiの彼女の日記にコメント書き込んできました」。そう一言だけ言い添えて歌を締めくくったスギムさん。「太宰、安吾は無頼じゃない。あいつらは論理を持ってる」故・川島雄三の言葉を拝借するなら、クリトリック・リスもまた無頼だ。「人が死んだ唄の後は生(性?)の唄。ヒッヒッフー」。今し方までのシリアスモードから一転、続いて披露されたのは勿論「ヒッヒッフー」。実によく出来たセットリストだと感心する(笑)。ああ、そうだ。昔、The Durutti Columnのアルバムで「Sex & Death」というタイトルがあったのを思い出す。たぶん全く関係ないだろうが。
「バンドマンの女」ばかりが取り沙汰されて、まるでクリトリック・リスが下ネタ一辺倒のユニットみたく言われてしまうのはいつも残念に思う。「性」の歌を身上とするアーティストといえば、東の雄、面影ラッキーホール(現Only Love Hurts)がいるが、同じ「性」をテーマにしてもその世界観はクリトリック・リスとは対照的だ。
とっくの昔に成熟し、老いが見え始めた大人たちの「性」を、時に笑いに、時にエゲツない現実に繋げ、悲哀として掬い上げる面ラホに対し、クリトリック・リスで歌われる「性」は、内なる永遠の男の子的な視点や青臭さを否定しない。スギムさんの描き出す世界は、常に日常の中の一場面としての笑いがあり、「性」がある。股間に着けた特製テルミンを女の子のお客さんにペシペシさせるのも、終演後の打ち上げで泥酔した挙句、チンコに唐辛子を塗り合って悶絶するのもきっとそうだ。
誤解を恐れずに言えば、「温い」のだ。うーん、やっぱり「温い」という表現は語弊がある気がするなぁ。それでも、他に妥当な言葉が見つからないのだ。その温さは、たとえば西成のあいりん地区の存在が大阪という土地柄であればこそ赦されている、「そんなん言うても生きてかなあかんのにしゃーないやんか」みたいな感覚に近いんじゃないかと思う。そして、それは関西以西に出自を持つ者からにしか絶対に出てこなさそうな独特の温もりのように思えてならない。
そう言えば、面ラホのアッキーは三上寛さんと親戚とのこと。その三上さんが今は西日本に活動拠点を構えているのもなにか不思議な縁を感じる。(どうでもいいオルタナ情報)
途中、前方にいた常連らしき若者とよく分からんビンタの張り合い大会を経て、アルバム・バージョンよりも、前にライブの物販で購入したCD-Rに入っていたオリジナルの歌詞に忠実で、よりキケンな香りのするサビだった「BARブラックナイト」。「思い出のカラオケボックス」では後半のベース音ブリブリのドラムンベース(?)で本日何度目かの大合唱だ。クライマックスは「バンドマンの女」、「毒キノコちゃん」とたたみ掛け、珍しく場内大盛り上がりのまま大団円。しんみりと終わらなかったクリトリック・リスは初めてだ。
終演後、サイン&撮影会でスギムさんと少しお喋り。「またアトホールにも来て下さいよ」と声を掛けると「あー、覚えてる覚えてる!」とムチャクチャ嬉しそうな表情。ホントに覚えてたのかどうかは神のみぞ知る、だが。
聖夜だろうが何だろうが、所詮はただの一年の中の一日。僅か数曲で1人だけサウナから出てきたかのように全身汗でズブ濡れになりながら2時間弱の大熱唱。そんなスギムさんのパンイチの姿は、ピンクのワンピースでステージを闊歩するミツコ☆タバタ嬢とどこか重なって見えた。

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